日本版LLC・LLPの3つの特徴

 日本版LLPの大きな特徴は、有限責任内部自治構成員課税の3つです。一方、日本版LLCの特徴としては、有限責任内部自治法人課税の3つがあります。
 

有限責任・無限責任について

 日本版LLC・LLPは、悪意または重大な過失があるときや不法行為等によって生じた損害を除き、一般的には出資者が出資額を限度として責任を負う有限責任です。出資を約束した金額ではなく、あくまでも実際に出資した金額までの有限責任となります。 例えば、1000万円出資した民法上の組合が、何かの訴訟で訴えられ負けてしまうと出資者は1000万円以上の責任を負うリスクがありました。しかし、日本版LLC・LLPは、有限責任なので事業に失敗した場合でも自分の出資金が戻ってこないだけで済みます(LLP法15)。ですから、様々な事業へチャレンジしやすいのです。 ただし、日本版LLC・LLP は、有限責任であることを対外的に明らかにするため、財務諸表の開示義務や登記制度があります。
 

 

内部自治について

 内部自治とは、組織の内部ルールが、法律によって詳細に定められるのではなく、出資者同士の合意により自由に決定できることです。ようするに、出資者が自ら経営を行い、組織内部の取り決めが自由にできるということです。 具体的な例としては、2つ挙げられます。
 1つ目は、日本版LLC・LLPは特定な取り決めをすれば出資比率によらず、柔軟な損益や権限の分配ができることです。 原則は、会計帳簿に記載された各組合員や社員が履行した出資の価額によって決まります。しかし、日本版LLC・LLPは、書面で取り決めれば、出資比率に関わらず、事業への貢献の度合いなどに応じて損益や権限の分配を自由に決定できます。出資者のノウハウの提供や労務などに応じて、分配をすることができるということです。また、特定の社員に意思決定の権限や損益の分配を集中させることも可能です。株式会社では、株主平等原則に従い原則として出資比率に応じた損益や議決権(権限)の分配が強制されています。だから、日本版LLC・LLPが出資比率に応じなくてよいというのは、大変画期的です。
 

 
 2つ目は、日本版LLC・LLPは取締役会などの監視機関の設置が強制されていないということです。株式会社には、取締役会や監査役の設置が必要ですし株主総会もあります。ですから、自然と株主の意向に添った経営に陥りやすく、リスクの高い新規事業や、当面利益が出そうもない事業などを行うことは難しかったのです。
 日本版LLC・LLPでは、定款の変更、その他の会社のあり方などの意思決定や業務執行は原則として出資者全員で行います。ただし日本版LLPでは、重要な事柄を除きLLP契約書において総組合員の同意を必要でない旨の定め(例えば、過半数による決定)をすることができます。重要な事柄とは、重要な財産の処分と多額の借財などです。日本版LLCについても、同様に迅速な意思決定が行われるようになる予定です。
 以上のように、日本版LLC・LLPは株式会社と違い、内部自治が徹底し早い意思決定を行えるので出資者のインセンティブが継続されます。
 

 

税金について

 株式会社や日本版LLCは法人格を持つので、法人税が適用されます(予定)。法人課税とは、会社が稼得した利益の一部を法人税として払いその残りの一部を出資者へ配当し、出資者が各自で所得税を払うシステムのことです。所得税と法人税を払うので、経済的2重課税と言います。
 一方、日本版LLPは組合が稼得した利益に法人税がかからず出資者のみが所得税を払う構成員課税です。これを、法人税を払わず所得税のみでよいので、パス・スルー課税とも言います。日本版LLPは、出資者へのリターンが大きいなど日本版LLCに比べ税制面では圧倒的に有利です。また、民法上の組合もパス・スルー課税ですが、無限責任であるのでリスクが大きいです。
 

 
 
運営 税理士・中島IT会計事務所/東京都港区