日本版LLC・LLPの期待される活用例

 日本版LLC・LLPが導入された場合、日本経済の活性化につながることは間違いないでしょう。ベンチャーと大企業の連携、中小企業同士の連携、産学連携、タレントショップ、街づくりや農業など様々な場面で日本版LLC・LLPの活用が期待されています。そこで、実際に3つの分野で期待されている日本版LLC・LLPの活用例を見てみましょう。
 

産学連携:ゲノム解析の応用研究を進める大学発ベンチャー

 例えば、製薬会社A社とゲノム解析の国際的権威であるB教授が、バイオテクノロジーによる新薬の共同研究開発事業を行うとします。このような場合、今までは、株式会社を利用していました。しかし、株式会社は株主総会があり、B教授は株主の顔色を伺いながら研究をしなくてはいけませんでした。これらが研究の障害になり、B教授は研究に集中できませんでした。 一方、日本版LLC・LLPは、株主総会や取締役会といった監視機関の設定は義務付けられていません。ですから、B教授は研究に没頭できます。また、出資比率に関係なく定款上で、研究業務に関する決定権限(例えば、どの段階まで研究を実地するか、どの状況で撤退するか、技術提携はどこまでするか等)を決められるので、B教授も積極的に事業に参加でき研究もうまくすすむでしょう。
 

 

共同開発ベンチャー:ロボット開発の共同研究

 例えば、大手機械メーカーA社とロボットメーカーB社が、次世代ロボット開発のために共同研究をすることを決定します。そして、高度な精密加工技術のある中小企業C社とともに、3社でジョイントベンチャーを立ち上げるとします。このような場合、今までは、まずA社とB社がジョイントベンチャーを株式会社で立ち上げていました。中小企業C社は、単なるA社とB社の下請け先となることを心配したり、ノウハウに応じた報酬が少ないことを嫌がり事業への参加は消極的でした。 しかし、日本版LLC・LLPを利用すれば、出資比率が(A社:B社:C社=45:45:10)であっても、定款で定めれば出資比率と異なる意思決定(A社:B社:C社=30:30:40)や、利益配分(A社:B社:C社=25:25:50)が可能です。
 

高度サービス産業:コンテンツ業界、映画製作

 例えば、映画会社、プロダクション、広告代理店、テレビ会社、書店などが共同で映画を製作するとします。このような場合、今までは、民法上の組合を利用していました。しかし、民法上の組合は、出資者全員が無限責任を負います。そのためリスクを恐れて、最初からヒットが見込まれそうな、有名な監督やベストセラーとなった本だけが映画化されていました。よって、数多くの映画プロジェクトが今までに消えていきました。 一方、日本版LLC・LLPは有限責任です。出資した分だけ責任を負えばいいので、お金のない監督や脚本家にもチャンスが増え業界の活性化につながります。ちなみに、映画大国アメリカでは、スピルバーグ監督のDreamWorks など映画業界でのLLCの活用が盛んです。
 

 

高度サービス産業:ソフトウェアの専門集団

 例えば、プログラミングやグラフィックデザインなどの分野で専門的な能力を持つ人たちが集まり、ソフトウェアの共同開発をするとします。このような場合、今までは、株式会社で行っていました。株式会社は、出資比率により議決権や配当が決まります。つまり、どれだけ労働したか、どれだけノウハウを提供したかではなく、いくら出資したかで報酬が決まっていました。このため、少額出資の専門家のインセンティブは持続出来ませんでした。
 一方、日本版LLC・LLPを利用すれば、出資比率に関係なく権利や配当を決められます。少額出資者のインセンティブを持続することが可能となるので、共同開発もすすむでしょう。
 
 
運営 税理士・中島IT会計事務所/東京都港区