日本版LLC・LLP制度ができた経緯

 ハード(物的産業)からソフト(創造的産業)へと、産業構造が劇的に変化しています。しかし現状の会社制度では、ソフト産業に対処できません。そこで、海外で増加する新しい組織制度(LLC・LLP)が日本でも導入されるようになりました。
 

 

現状の制度での限界

 近年、経済のグローバル化とともに我が国の産業構造も大きく変化を遂げ、ハード(巨大な設備投資中心の物的産業)から、ソフト(知識産業や創造的産業)への移行が進んでいます。低価格・大量生産の時代が終わろうとしているからです。 そんなグローバル化・ソフト化の中で、我が国が世界規模の競争に勝つために、日本独自の技術やアイデアといった人的資産が重要視されています。しかし、現状の会社制度では、知識産業や創造的産業にうまく対処できません。
 

株式会社の限界

 これまで、我が国で事業を行う場合、設備を購入するための資金調達が容易な株式会社が活用されていました。しかし株式会社は、出資比率に基づく権限と利益の配分が行われているので、一部の大株主の利害にそった経営に陥りやすく、少数株主の意見が反映されない傾向にあります。そのため、新しい技術やアイデアがあってもそれらを試す事ができませんでした。さらに、利益の配分も、事業への貢献の度合いなどは考慮されず出資比率に応じるものでした。
 

合名・合資会社の限界

 

民法上の組合の限界

 また、2人以上の事業主が共通の目的のため出資し共同事業を営むことを、民法上の組合といいますが、出資者が無限責任となるので新規事業を積極的に行えませんでした。無限責任とは、出資以上の債務を負う義務があることです。例えば100万円出資した会社が事業に失敗して、100万円超の債務ができてしまったら、出資分の100万円を超えて支払う義務があることです。
 

日本版LLC・LLPの誕生

 つまり、株式会社を利用しても、民法上の組合を利用しても、専門知識や技術を持った出資者が集まり、経営に参加する事は難しかったのです。 そこで、これらの問題点を解決する方法として、欧米で増大しているLLC (Limited Liability Company:以下LLC)とLLP ( Limited Liability Partnership:以下LLP )が注目されるようになりました。 日本では、平成14度末に経済産業省でLLC研究会を立ち上げ、すぐにでも法制化される予定でした。 しかし、財務省が「LLCは会社であるから、法人格があり、法人税を適用する予定」というニュアンスを出したので、経済産業省は方向転換をすることになりました。 なぜなら、法人税を支払わず所得税のみでよい、というLLCの構成員課税が幻に終わったからです。そのため、経済産業省は平成16年9月に、LLP研究会を立ち上げ法制化に動きました。その結果、構成員課税が適用される日本版LLP法(有限責任事業組合契約に関する法律)が、平成17年4月27日の国会で可決成立し、8月1日に施行され、これにかかる政令(施行令)と経済産業省令(施行規則)も同日から施行されました。それにより、日本版LLP(有限責任事業組合)という新しい企業形態が創設されたのです。
 また、会社法も平成17年6月29日に可決成立しました。施行日は平成18年5月が予定されているため、日本版LLCも来春には始動するということです。
 

 
 
運営 税理士・中島IT会計事務所/東京都港区